Fly With The Wind

アメリカン航空2ミリオンマイラーが適当にポストする気まぐれブログ。

NTSB ISSUES URGENT SAFETY RECOMMENDATION TO ADDRESS ENGINE THRUST ROLLBACK EVENTS ON B-777 AIRCRAFT

たまには、まじめな話。

エール・フランス(AF)(2009/6/1)がブラジル沖に墜落した事故、よく航空機を利用する者としては、「巡航中の事故」ということで驚きですが、そのニュースを見ていて、ふと、2008年1月17日のブリティッシュ・エアウェイズ38便事故を思い出しました。

■ブリティッシュ・エアウェイズ38便事故

2008年1月17日 ブリティッシュ・エアウェイズ38便

北京発ロンドン行のB777-236ER(G-YMMM)が着陸直前、エンジンが「突然2機とも停止」。

そのまま、滑空状態からヒースロー第4ターミナルの前の滑走路端に墜落したものです。

奇蹟的に死者は出なかったものの、もしこれが巡航中であったらと考えると、ぞっとします。

当時は「燃料内の不純物が原因」だとか「プログラムの暴走が原因」だとか情報が錯綜していたのですが、原因が燃料内の氷結関係だと、ほぼわかった後で、しばらく放置していました。

件のAFの事故を聞いて気になったので、再度詳しく調べてみたのです。

■なぜ気になるか

なぜ気になるか、、、この機体のエンジンは、ロールスロイスのRB211トレント800シリーズ。

G-YMMMが装備していたのはロールスロイス・トレント895ですが、

実は、アメリカン航空が所有するすべてのボーイングB777-222ERは、

ほぼ同型のロールスロイス・トレント892を装備しています。

そういうことです。

■アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)の発表

調べたところ、すでに言及されているブログ等があったのですが、3月にアメリカ国家運輸安全委員会が、この件について緊急のリリースを出していました。

いろいろとはっきりしたんですね。内容をみると「やっぱりね」という感じです。

1次ソースからということで、アメリカ国家運輸安全委員会(NationalTransportationSafetyBoard(以下NTSB))の緊急リリースより引用します。

(2009年3月11日のもの)

FOR IMMEDIATE RELEASE: March 11, 2009 (SB-09-11)

NTSB ISSUES URGENT SAFETY RECOMMENDATION TO ADDRESS ENGINE THRUST ROLLBACK EVENTS ON B-777 AIRCRAFT

▲のページからリンクされているFAAへのレターのPDFは、もっと詳しく書かれていますので、是非に。

さて以下、原典は英語ですから、「基本はそちら▲を参考にしてください。」それほど難しい英語ではないですので。

原因は、ジェット燃料中の水分が、極低温化の長時間飛行で凍結、着陸時にこれが一部溶け出し、燃料と油の熱交換器(FOHE)に凝結、燃料を遮断したか、油圧の低下?ということらしいです。

ものすごく簡単に言ってしまうと、飛行機の心筋梗塞といったところでしょうか。

ボーイングでは、これを回避するための飛行法や手順を各航空会社に出していて、今はそれで対処しているらしく、アメリカン航空でも、そうならない様に実践がされているという話は、聞いたことがあります。

ただし、これを読むと、実はブリティッシュ・エアウェイズ38便の事故の後、デルタ航空の同型エンジンを搭載したB777が、モンタナ上空で巡航中、同様の現象が1機のエンジンで起き、上記の対応でなんとか回復無事着陸した事例がある、とのこと。

「1年に2度も」「同型の飛行機・同型統エンジンで」こういうことが起きる確率は、とても無視できるものではなく、時間をおかずに、また起きてもおかしくありません。

また、NSTBは、回復対応もどこまでリスク軽減できるのか?、もし他の作業で手いっぱいだったらどうするのか等、勘案すると「FOHEの再設計と装備しかあり得ない」と結論付け、FAAとヨーロッパASAへ緊急の勧告を出しています。

これに際して、NTSBが実験した「燃料と油の熱交換器(FOHE)の氷の堆積」の写真を以下に張っておきます。

Ice accumulation on the inlet face of a Rolls-Royce RB211 Trent 800 Series Fuel/Oil Heat Exchanger during testing

Ice accumulation on the inlet face of a Rolls-Royce RB211 Trent 800 Series Fuel/Oil Heat Exchanger during testing

(NTSB)

ぞっとしますね。

■で・・・

で・・・

ロールスロイス社は、現在、燃料と油の熱交換器(FOHE)の再設計中で、対象のエンジンに「1年以内」に装備できるように、耐空証明やらとると発表しています。

ただ・・・これ「2009年2月23日」の発表です。

NTSBは

「再設計された部品が、耐空証明やら取って承認され、装備できる状態になったら、各航空会社は次の(重)整備時に交換しなさい、半年以内にね。」

と言ってる風。

つまり・・言いたくはないですが、

いろいろなことに時間がかかって仕方ないとはいえ・・

最悪あと1年半は、エンジン付近に問題抱えている言うことがわかっている飛行機だと。

まだ、見つかっていない欠陥を抱えた飛行機もあるかもしれませんが。

いや、あるでしようね。

■その後

アメリカン航空のサイトひっくり返しても、この話は出ておらず、せめて、新しいFOHEが装備された暁には、それを発表してほしいものです。

そんな私は7月にアメリカンの超長距離便のB777-222ERに4回乗りますがね。。

とかなんとか言いながら、アメリカンのB777-222ERには、数えたら78回も乗っていたりして。

ちなみに、B777のロールスロイス・トレント装備率は、その信頼性から非常に高く、何も「アメリカン航空だけ」に限ったことではないことを、付け加えておきます。

せめて、事故の原因が「ほぼはっきり」しているこういう案件(FOHE)は、早めに対応をしてほしいものです。1乗客として。

エールフランスの事故は、上空での落雷が原因じゃないかと言われていますが、ブラックボックスやらは数千メートルの海底に落ち、原因がつかめないままお蔵入りしそうな雰囲気で、事故にあわれた方のご冥福をお祈りするとともに、すべての関係者は忸怩たる思いでしょう。

■そういえば・・・

そういえば、どこかの誰かが「飛行機に乗るのはギャンブルだ」と言っていたなあ・・・

車に乗るのも、電車も、自転車も、バイクも、道を歩くのさえ、みんな事故の危険をはらんでいますからね。

ただ、「わかっていることに対して」は、早め早めに動いてほしいという願いのみです。

ビジネスクラスの座席がどうとかは、どうでもいいので。運輸業は安全が第一です。

※間違い等あればコメントから指摘ください。